Diary/2023-5-12
「コンピュータへの道」
高橋秀俊先生の自叙伝的なコンピュータへの道を読んだ.
繰り返しソフトウェアの大事さ,ソフトウェアに関して日本が立ち遅れていることに
警鐘を鳴らされているのが興味深い.
コンピュータの本質はハードウェア(だけ)ではないというのが伝わってくる感じ.
メモ.
p.7
LSIの製造法は,簡単にいえば,写真の焼付で機械を作るのである. 写真とか印刷とかいいう従来「情報」を複製するのに使われていた技術が, 今日では「情報処理の機械」を作るのに広く使われているのである.
p.76
とにかく計算機の成否を決めるのは当時から今日まで,いつも記憶装置にあった.
p.82
『ザ・プレパレーション・オブ・プログラムズ・フォー・アン・ エレクトロニック・ディジタル・コンピューター』
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Preparation_of_Programs_for_an_Electronic_Digital_Computer
p.90
要するに計算機は,よほど信頼性のことを考えて設計しなければならない ということにあった.
p.150
私が「割込み」を考えたのは実は一つの哲学に基づいている.それは主体性の問題である. 計算機は人間が使うものである.であるから,いついかなる時にも, 人間の主体性が保たれねばならない.
p.157
また,われわれの考えは,計算機はソフトウェアでいろいろな働きができるのだから, ハードウェアはできるだけ簡単にすべきだということであった.
p.179
これからのエンジニアにはそういうことではなく,エンジニアリングの基礎となる 一般的な考え方を教えることが必要だ. ... こうしてできたのが岩波書店から出た講座「基礎工学」である.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001428027-00
p.193
もっとも逆にいえば,日本のメーカーを奮い立たせ,追いつこと努力させたのもIBMで, 日本の計算機産業をここまで伸ばしたのはIBMの功績だというのも恐らく真実である.
p.214
やはり今日の情報システムの設計者に欠けているのは,「人間のためのシステム」だという 認識だと思う.そして,この点が,これからの情報処理教育の一つの眼目でなければならない. 「人間が計算機に使われている」という印象をもつ人が,一人でもいてはならないのである.